新刊『自衛隊 この国営ブラック企業』発行のお知らせです。(シェア歓迎です)。

 

*小西  誠著/四六判並製 227頁 本体1700円

明日、ネット直販発売(全国書店発売は10/25です)

*shakai@mail3.alpha-net.ne.jp

直販サイトhttp://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-907127-11-4.html

http://www.maroon.dti.ne.jp/shakai/

 

●パワハラ・いじめが蔓延する中、多数の現職自衛官たちから届く「辞めたい 死にたい」という凄まじい悲鳴― 今、そのおぞましい自衛隊内の実態が、初めて抉り出される!

 

●AKB48と萌えキャラに騙されて入隊したが……そこは「24時間勤務態勢」の下、「雇い止め」「サービス残業」が横行する元祖「ブラック企業」だった!

 

●集団的自衛権行使の閣議決定を行った自衛隊の最高指揮官・安倍首相は、この自衛官たちの、本当の声を聞いたことがあるのか?

 

目次

はじめに    2

 

プロローグ

――インターネットで告発する自衛官たち    9

「ガムテープのミイラのような姿」の遺体    9

現職幹部自衛官がパワハラを告発    12

幹部自衛官の2人目の自殺を目撃    16

パワハラ副隊長には何のおとがめもなし    17

「自衛官人権ホットラインの相談室」へ告発    18

 

第1章 辞めたい、死にたい自衛隊    21

―― 「自衛官人権ホットライン」に届く自衛官たちの悲痛な声

パワハラが爆発的に蔓延する隊内    21

海自を始め全自衛隊に蔓延するパワハラ    27

自衛官家族からの訴えの増大    30

営内班にはびこるいじめと暴力    36

自殺に追い込まれる隊員たち    42

辞めたいのに辞めさせない!    49

セクハラは果たして減ったのか?    54

なぜ自衛隊でパワハラ・自殺は深刻なのか?    56

危惧する元自衛官たち    64

 

 第2章 AKB48と萌えキャラに騙されて入隊    67

―― かつては「地連」に騙されて入隊したが……

AKB48を使ったコマーシャル    67 

危機に瀕する自衛官募集    69

パワハラ・いじめ・暴力の横行     73

未だセクハラの蔓延する隊内    79

自衛隊は「大人の幼稚園」    83

プライバシーのない隊内生活と規律    86

人格が崩壊する自衛隊生活    92

「国営ブラック企業」と呼ばれ始めた!    98

幹部自衛官の苦言・提言    101

元自衛官たちの提言    104

マスメディアが甘やかす自衛隊    108

 

 第3章 自衛隊は元祖「ブラック企業」だった    110

―― 再任拒否・残業代拒否ばかりか訓練死―自殺が常態化

一般隊員は「契約社員」    110

残業代なしの24時間勤務態勢   114

仕事も生活も監獄並みの拘束      116

訓練・リンチによる死と殉職   120

自殺者の増大を放置する防衛省    124

イラク派兵と自殺者増大    130

自衛官だけに課せられた賭命義務    133

防衛省・自衛隊を訴える隊員家族ら    138

 

 第4章 田母神的トンデモ人格を造る自衛隊教育    147

―― 旧日本軍以来の訓育と精神教育による「洗脳」

自衛隊的「兵士」の造り方    147

兵士造りの要は「命令への絶対服従」    151

危機に瀕する防衛大学校    154

全校で保険金詐欺が横行する防大    157

はびこる防大のリンチ・いじめ事件    159

田母神ショウグンのトンデモ語録    163

「UFOが原発危機を救った」という防大出身幹部    168

「少年自衛官」たちの危機    172

不祥事=刑事犯罪が多発する自衛隊    177

 

 第5章 マスメディアが報じない自衛隊の実態    181

―― 繰り返される「脅威論」の虚構

中国の防空識別圏設定で無知をさらす国会とマスメディア    181

制服組主導の「尖閣」上陸作戦の秘密教範    187

シビリアン・コントロールの崩壊    192

「テロ脅威論」に屈服するマスメディア    196

「想定外」の自衛隊の原発災害出動    204

原発55基も抱えて「日本防衛!」は可能だったのか?    209

日米豪の集団的自衛権による日本の「砲艦外交」     214

 

結語 自衛隊はどうあるべきか?    219

資料 自衛官の懲戒処分者などの件数      226

 


はじめに


筆者が、多くの人々の協力で運営する「自衛官人権ホットライン」には、全国の部隊内から隊員たちの声が毎日のように届く。

ここ数年前までは、自衛隊を「辞めたいのに辞めさせてくれない」「辞めたくないのに強制的に辞めさせられる」という、退職慰留と退職強要に関する相談がほとんどだった。

 

ところが、ここ1~2年、届く声のほとんどは「上官からパワハラを受けている、誰も助けてくれない、もう死にたい」という、悲痛ともいえる叫びである。驚くべきは、この相談者の過半数が、幹部自衛官とその家族、あるいは、自衛官として10~20年以上勤めあげている、中堅の陸海空曹とその家族だということだ。

 

この事実は、最近マスメディアでも頻繁に報道されるようになった隊内のパワ

ハラなどが、氷山の一角でしかないことを示している。本書では、「自衛官人権ホットライン」に届いたこれらの声を、ありのままに(プライバシーに配慮しながら)伝えたいと思う。

それにしても、この全国の全ての部隊に蔓延するパワハラ・いじめ、そして自殺者の増大を、なぜ防衛省・自衛隊は放置しておくのか? なぜ解決できないのか? 読者も、多くの人々も、深い疑問を持つことだろう。

 

問題は、防衛省・自衛隊がこの構造的とも言えるほど隊内にはびこるパワハラ・いじめ・自殺などの背景と原因について、まったく理解していないということだ。それというのも、彼らにとっては根本的に理解不可能な事柄であり、したがって、防衛省サイドからの繰り返しの彌縫策もまったく効果がないのである。

 

本書では、この自衛隊のパワハラなどの構造的要因についても詳しく分析するが、ここには、戦後自衛隊が引き継いできた旧日本軍との深い関係が刻印されている。

政府・防衛省は、現在、集団的自衛権行使に関する自衛隊法などの改定を目論んでいるが、安倍首相を始めとする政府・自衛隊首脳は、この自衛隊内で深く進行している「隊員たちの深刻な危機」を、果たして認識しているのか?

この「平時」においてさえ進んでいる悲惨な事態は、一旦自衛隊員たちが、集団的自衛権の行使による命の危険に立たされたとき、爆発的に進むのは間違いない(アフガン・イラク帰還の米兵を見よ)。

 

結局、どんな美辞麗句を並べようが、集団的自衛権の行使という事態は、自衛隊員(日本の青年)と世界の人々を「殺し殺される」という現実に立たせることであり、当事者である自衛隊員の

真実の姿を知ることなしには一歩も進めることはできないのだ。本書をそのための参考にしていただきたいと思う。

2014年10月5日

                         著 者

自衛隊この国営ブラック企業ーウェブ版10